歯科医師会が中心になって勧めている「8020運動」について簡単に説明します。
今現在、80歳の方の平均残存歯数は「8本」程度です。
これとは別に口腔内の残存歯数が「20本」を割り込むと、段々咀嚼能率が低下する事がわかっています。このデータを元に歯科医師会は
「20本の歯を残せば全部(28本です)残っている人と遜色ない食生活が営めるはず。」
「だから今80歳の方の平均残存歯数を5本(運動開始時は8本よりも少なかったのです)から20本に上げるのを我々の目標にしてはどうか。」
という結論を出し、それに平均寿命(約80歳)の数字を重ねて「8020運動」を始めたのです。
ですのでこれは
「80歳で20本以上の歯を残せたら、きっと快適な食生活が営めますよ。」
「だから定期検診を受けたりして歯周病の予防をしましょう!」
という前向きな明るい未来を目指そう、という希望に満ちた運動のはずなのですが
私の患者さんの中の何人かの方は
「80歳になっても20本の歯を残さないと、大変な事(ごはんが噛めないとか病気になるとか・・・)になりますよ!」という恐怖感を煽るような捉え方をしていたり
「80歳の方の大部分は20本の歯があるんですよ!(だから20本ない人はあかんのです)」
みたいな思い込みをされている方がいたりします。
そしてそういう思い込みの患者さんから
「先生、80歳で20本の歯を残さんとあかんのですか?」
という質問を受けたりします。
物事の捉え方の問題でもあるので、少々返答に困ってしまうのです。
「残さんとあかん事はないけど、残すよう行動に移してみたほうがいい事が多いと思いますよ。」
私はこういう答え方をしています。
ただ「80歳で20本の歯を残しましょう!」と連呼するだけだと、このような誤解が生まれたりします。物事は正確に伝えないといけませんね。我々も自省が必要です。