■答えその1 歯周病はいつの間にか進行する事が多いから
歯周病のやっかいな所は、無症状のまま静かに進行するという事です。
私たちから見れば無症状ではないのですが、自分では気づかない事が多いのです。
そして通常皆さんは他人の口の中と自分との比較ができません。
自分の口の中はどんな状態なのか知っていますか?
歯周ポケット検査とレントゲン撮影によって大体の事がわかります。
そして歯科医師から今の状態を評価してもらいましょう。
今の自分の立ち位置を知るだけで安心感に繋がります。
定期健診の目的の一つは、今の自分の状態を知る事です。
■答えその2 歯周病は適切な予防処置を継続すれば避けられる病気だから
通常、年齢を経ると細菌に対する歯周組織の抵抗力が低下していきます。
また骨粗しょう症や糖尿病などの全身疾患も歯周組織の抵抗力を低下させます。
ですが適切な予防処置を継続して行えば、それに抗う事が可能なのです。
つまり歯周病の予防処置は、口腔内のアンチエイジングなのだと認識して欲しいのです。
2016年のデータによると日本人の80歳の方の平均残存歯数は15本です。
2005年は8本でしたから、近年でかなり改善しました。
ですが例えば長寿国スェーデンでは20本以上残存しており、まだまだ差があります。
長生きだけでなく歯を失わない健康長寿を目指す人は、是非とも歯周病を予防しちゃって下さい!
当院でそのお手伝いをさせてもらいます。
でもまずはその歯周病を予防するために、少し敵の正体を知っておきましょう。
■歯周病菌が歯周病を引き起こす
歯周病菌を口の中に培養させていると、その毒性で歯の周りの骨が溶けていきます。
( 正確には体内の破骨細胞が活性化するという機序になりますが )
だから歯周病を予防するには、歯周病菌をまず一旦は口の中から追い出します。
歯周ポケット洗浄や歯石除去に加えて、ジスロマックという抗生物質を内服してもらう事が多いです。
そしてポケット内の歯面を滑沢にして歯周病菌が住みにくい口腔内にする!
歯周病治療はこれに尽きるのです。
歯周病菌が「嫌気性菌」と呼ばれている事、つまり空気が嫌いという事はご存じでしょうか?
そして実は唾液に触れても歯周病菌は増殖できません。
意外に思われるかもしれませんが、唾液には抗菌作用があるからです。
ですが口の中に空気と唾液が届かず、歯周病菌の増殖しやすい場所が出来てしまう事があるのです。
それは「歯石」の付着した「歯周ポケット」の底です。
そして歯石のざらざらした粗面にも歯周病菌は付着しやすいです。
そして他の細菌と生意気にもコラボなんかして、バイオフィルムなどという迷惑なバリアを作成します。そして歯面にベタベタと貼り付いたりするんですよね。歯周病菌って厄介な奴なんです。
だからまず検査で歯周ポケットの深さを測定し、歯石を除去して歯周ポケットの歯面を滑沢にします。歯周病菌が付着しにくい歯面にすると同時に、空気と唾液がスムースに循環する状態にするのです。
風通しの良い口腔内にする、というイメージです。
歯科医院で歯石を取る目的は、歯周病菌の除去と同時にこの風通しの良い口腔にする為なのです。
そしてその一旦その状態にすれば予防処置は終了、あとはホームケアで維持に努めてもらいます。
そして良い状態が保てているかどうかを、定期健診で客観的にチェックをする。
それを何年も継続していくだけで歯周病は予防できます。
・・・と言うのは簡単ですが、行動に移すのは難しいと感じる方もおられると思います。
■自分自身が主治医になりましょう
歯周病予防が難しいのは、下記の要因が考えられます。
歯科医院が苦手だから、家でのブラッシングや高価な歯磨き剤だけで予防しようと挑戦する。
歯科医院が苦手だから、どうしても通院が後手後手になってしまう。
一度歯石は取ったけど、つい予防の大切さを忘れて通院が何年も途絶えてしまう。
歯石除去が苦手だから通院したくない。
無症状のまま静かに進行するので、いつの間にか重症化する。
そして重症化すると色々な処置が必要になってしまうので、これまた治療が後手後手になってしまう。
・・・大体こんな所でしょうか?当てはまる方いらっしゃいますでしょうか?
皆さんには、「自分自身」が自分の歯の主治医になってほしいのです。
まず自分で生涯歯を残すと決意する、そしてその為に歯科医院を上手に利用する。
それでいいのです。でも自ら決意して自発的に行動に移してほしいのです。
インフォームドコンセントという言葉があります。説明と同意という意味です。
医師がまず説明する、そして患者さんの同意を得て初めて治療ができるのです。
同意を得ない事はできません。ですから意にそぐわない事は拒否すればいいのです。
とにかく自分が自分の主治医になりましょう。
歯科医院は自分の歯を守るために上手に利用するものです。
どんどん当院を利用しちゃってください。